
の福利増大のために努力し、彼ら自身の教養ばかりでなく経営の助けとなる知識がえられるよう整理された情報をメンバーに供給する。この団体はメンバーの正常な取引や酒類市場の安定に影響を及ぼすどんな団体とも協議する。将来の発展のためメンバーの建設的な意見を聴くことを目的とした会議を開催する。この団体はメンバーの将来の事業や発展を促すために会報や月報などを発行している。 以上我国の酒税制度、政府の指導と酒類業界との関係について述べた。次に今回の研修事業が企画された背景について着手説明する。 先に述べたように、小売業者は酒販免許を持っているが、この免許は公衆衛生上の理由から与えられたものではなく、政府による酒税徴収を確実にするために与えられたものである。いま、この免許制度は批判にさらされている。というのは現代のように安定した経済状況においては酒税保全のための免許制度の意味が希薄になり、その効果は、免許をすでに取得している小売業者の既得権益を守るという意味しかもたなくなっているからである。一方、我国では現在国の内外から規制緩和の要請が高まっており、酒類の販売や輸入に関しても規制緩和が主張されている。こうした意味からも現今の免許純度の妥当性には疑問が投げ掛けられているのである。危機感を持った小売酒販業者は従来厚生省をはじめとして公衆衛生関係者が強調してきた国民の健康を保つという視点からの免許制度の必要性について再認識し始めている。 酒類が致酔性を持っていることから、その取扱いは酒販業者ばかりでなく広く社会の関心を集めている。第二次大戦後のわが国におけるアルコール消費量の著しい増加は、1)経済発展にともなう国民総生産の増加、2)生活習慣の変化、3)飲酒者数の増加によるところが大きい。また、アルコール消費の動向は流行に影響されるという側面もある。消費の伸びが西洋凪の酒類提供場所の発達にもよっている。ビアガーデンやワインバーのような店の数やバラエティーが近年増加している。 日本では、成人の63%が飲酒をしており、この割合は他の多くの先進国よりも若干低い。しかし、この割合は急速に増加している。この10年間で男性の飲酒割合は76%から85%に増加し、女性では18%から53%に増加した。アルコール健康医学協会の調査によると、我国のアルコール依存症者数は220万人、人口の1.8%である。少なくともいくつかの人口集団でアルコール問題は悪化している。とくに女性および未成年者の
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